写真の前に立ったブライアンはしばらくじっと眺め

「これ、ココだよね?」

写真から視線を外さぬまま口を開いた

「うん、私・・」

「そっか・・・」

その時、無言の続くふたりの背後から声が掛かった

「申し訳ありません・・ その作品は売り物じゃないんです」

ブライアンはその声に振り向き、ココはブライアンに隠れるように下を向いた

「そうですか・・残念だな・・ いい笑顔だから・・ この写真を見てるだけで、こっちも思わず笑顔になってしまう・・そんな写真ですね」

ブライアンの言葉に

「そうなんです。 彼女の笑顔には魔力でもあるんじゃないかって思いますよ・・」

北斗はブライアンの言葉を受け、写真を見つめる

その優しい視線に

「でも、売り物じゃないなら諦めますよ・・ 写真より、本物の笑顔の方が魅力的でしょう」

ブライアンは真剣な眼差しで北斗を見る

その言葉に、北斗はブライアンに隠れるようにして俯いている女の子に視線を移し、しばらく見つめていたが

「今回の作品の中で購入できるココの写真は全て欲しいんだけど、何点ある?」

ブライアンは、北斗の視線を自分の方へ無理やりひっぱった

「え? 」

「いや・・ ココは素人だろ? プロのモデルならまだしも、そうじゃないのに、自分の恋人が知らない男に見られるのはどうも我慢できないんだ」

と微笑むブライアンだったが、目は笑っていない

「ちょっと!ブライアン? 本気?」

その言葉にココは思わず顔を上げた