初めての海外旅行の記憶はない

2歳か3歳か・・家族で行った写真が残っているからその頃だと思うし、それ以降も父親が映画の撮影で長く滞在していれば、そこへ遊びにいったり、がっくん達やゲーゴの家族達と旅行に行ったりと、色々なホテルに泊まってきたが、部屋に入るなりココは驚いてしまった

「広すぎ・・・」

思わずつぶやいたココに

「そう? ココの部屋はこっちね?」

とブライアンが案内する

二人の寝室は別に用意されていたのだ

「一緒のベットで寝たいところだけどね・・・」

とブライアンがつぶやいた事など気付かないココはバスルームでバラの花が浮かんだ浴槽に絶叫していた

「すごい!! 私の憧れなの! なんで知ってるの? ママの昔話で聞いてて、本当に憧れてて・・・・」

いつもの落ち着いた様子のココからは想像もつかない様にブライアンは驚くが、思わず笑ってしまう

「そんなに興奮しないで? お湯加減も丁度いいはずだし、入ってくれば?」

「いいの!? 行ってくる!!」

いいの?と聞いたくせにブライアンの返事も待たずバスルームのドアは閉められたのだった

バラのお風呂の昔話をする時のママはいつもちょっと寂しそうで、幸せそうだった・・

やろうと思えばできるはずなのに、絶対にしないママ

そんな事を思いながら、ココは初めてのバラの花びらで溢れたお風呂を堪能したのだった

長い髪をアップに束ね、用意されていたバスローブに身を包んだココが顔を上気させながら出てきた

「どうだった?」

と、ルームサービスを頼んだのか、クラブハウスサンドとコーヒーを飲んでいたブライアン

「もう、最高だった!!」

「こんなに喜んでもらえるなんて思っていなかったよ? でも、自宅でするのは薦めないけどね」

「どうして?」

「掃除が大変なんだ・・ 排水溝にでも詰まったら面倒だしね」

そっか~ でも、実際詰まってもそれをブライアンが直すわけじゃないよね~ 

なんて思いながらココもクラブハウスサンドに手を伸ばした