憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)

それからしばらくして、AQUAに珍しい客の姿があった

北斗だ

「あれ? 北斗? ひさしぶりだな!」

学生の頃はレンと一緒によく顔を出していたので、ジェイソンとも顔なじみだ

姫花達より少し年上のジェイソンとアリは未だに現役のバーテンダーでAQUAのカウンターに入っていた

「どうも・・ 地下(した)行けます?」

北斗はジェイソンに向け、指で床を指す

「北斗なら大丈夫だろ? ちょっと待って・・暗証番号とか変わってるから・・」

とジェイソンはコースターにサラサラと書き、北斗に手渡した

北斗はジェイソンに軽く手を挙げフロアーを颯爽と歩いていった

カウンターに入っている若いバーテンダー目当てで来ている女達は、北斗の後姿に目を奪われている


「さっきの人、知り合いですか?」

「下に行くってモデルさんとかですか?」

矢継ぎ早にジェイソンに尋ねる女達

「流石、いい男には目ざといねぇ・・・」

そんな客の質問には答えず、ジェイソンは笑みだけみせ、カウンターの奥へ引っ込んでいったのだった

エレベーターを降りた北斗は、久しぶりのAQUAに懐かしさを感じながらカウンターへ歩いていく

カウンターの中にはアリ 

そしてカウンターにはマキが座っていた