『優作は自分のことだけを考えてたワケじゃない。
美優のことも、考えたんだ。
お互いが前に進むために優作は美優に逢わないことにした。
優作は忘れるチャンスだ、
そう言ったけど、心ん中じゃまったく違うこと思ってる。
美優はこれから別の人生を歩いて行く。
それを遠くから見守ることが自分の使命、責任。
優作はきっと、心の中でそう思ってる。
な?そうだろ、優作』
思わず溜め息が溢れた。
涼の言ったことは何1つとして間違っていない。
俺は今も心の中で美優を思ってる。
今じゃもう、好きという感情はない。
けど、もうそんなことは関係ないんだ。
好きとかキライとか言う問題じゃなくて。
うまく、言葉じゃ言えないけど
美優はきっと、一生俺の中に住む住人なんだ。
「藤堂先生ってさ……」
今まで黙ってきた京地が口を開く。
「ずっと何考えてるか分かんなくて
すっごく冷めてて。
冷たい人なんだろうな、
そう勝手に思ってた」
それを聞いて頷く俺とちょっとショックを受けてる俺と2人いる。
冷たいヤツを装ってるだけあって冷たい人と思われるのは仕方がない。
でも京地はそんなこと思ってないと思ってたから。
けどまあ…仕方ないよな


