京地は顔色を変えず聞いている。
ただ、ひざの上で握った拳が震えていて。
でも俺は話を続けた。
『美優の病気は目の病気だった。
緑内障って病気
聞いたことくらいはあるだろ?』
そう聞くと京地は頷く。
『もう結構進んだ緑内障で。
視野は狭くなって、
最終的に見えなくなるんだ、
って美優のお母さん言ってた。
薬とかで進行を遅くすることはできるけど
見えなくなることは確かだ、
そうお医者さんに言われたんだって。
俺、なんて言っていいか分からなくて。
そのまま帰った。
ダメだよな、俺。
彼氏なのに逃げようとしたんだ。
彼氏なら支えてあげなくちゃいけないのに。
でもなんて美優に声をかければいいのか分からなくて。
どんな顔して会いに行けばいいのか分からなくて。
1週間、病院に行かなかった』
最低な彼氏だったと思う。
チラッと横目で涼を見た。
コイツがいなければきっと、俺は今ここにいないだろう
美優と向き合うことができたのも
コイツのおかげなんだ。


