「ごめん…先生」
自分のクラスで授業をやっていたとき。
黒板を写しやすくするために俺は教室の隅に立つ。
そうすると下から声がした。
『ん?どうした?京地…』
俺に話しかけたのは京地
でも、アイツは黒板を写していて。
俺の空耳かと思った。
でも
「なんか…ごめん
あたしの踏み込んじゃいけない話だったよね」
京地は俺の目を見ずそう言った。
きっと朝の話をしているんだ。
『何…言ってんだ?
もうそんな話、俺…忘れちゃった』
そう言ってるのに
「でも先生…おかしいじゃん」
京地はそう言ってて。
俺…おかしいのか?
そりゃあ…おかしくもなる。
だって
『美優』
の名前が出てきて
俺はどうしようもなく、胸が苦しくなったんだから。


