『それ以上、絶対に誰にも言うなよ?
特に奈々にはな。』
へいへい、と適当な涼の返事。
『やっぱりまだ、美優のこと…忘れられてないんだな』
そんなんじゃねぇよ、俺はそう吐き捨てる。
美優に恋愛感情があるか?
そう聞かれれば俺は首を横に振ることができる。
美優への感情は誰にも理解できないもの
俺自身だってよく分からない。
けど、心の中にいるのは確かで。
でも心を覆い尽くす面積は奈々のほうが広い。
これも確かで。
『奈々ちゃん…傷つけるなよ?
多分…あの子が泣いてたら真がキレるから』
涼はそれだけ言って秘密の場所を出て行った。
奈々を傷つけないためには
美優のことは絶対にバレちゃいけない。
何がなんでも隠し通さなきゃいけないんだ。


