そして卒業式が終わった。
教室に戻るとみんなの目が今までにないくらいに輝いていて。
少し、ビビった。
『えーっと、卒業式、お疲れ様』
なんか…恥ずかしいな。
こんなふうに卒業式後に自分が教壇に立っているなんて中3のころの俺は想像していただろうか。
『俺…口下手だからうまくみんなに伝えられるか分からないけど』
『よっ、センセ頑張れ!』
『うるせーぞ、相原』
相原の思わぬ茶々が入ってクラスが笑いに包まれる。
『ちょっと真面目な話をします』
笑い声が小さくなったとき、俺は口を開いた。
『俺には今、大切な人がいます』
クラスは少しざわつく。
そして京地と相原はニヤッと笑っていた。
『本当に大切で、失いたくない人です。
いつかきっと、みんなにもそんな人ができるでしょう。
そしたらそのときは必ず、これを守って下さい。
何よりも
誰よりも
その人を1番に考え、幸せにすること』


