体育館中に溢れる拍手。
そんな中、京地はうっすらと瞳に涙を浮かべ、壇上から去った。
「さすが…としか言えませんね」
堂々と答辞を終えた京地を見て山崎先生は苦笑。
『…なんせ腹黒京地ですので』
俺も苦笑。
まさかアドリブをぶち込んでくるとは。
今読んだ京地の答辞は最初と最後以外は全て、アドリブだ。
なんて度胸してるんだよ、ホントに。
すごすぎて溜め息が出る。
そして京地に視線を送ると奇跡的に視線が交わった。
すると、京地はニヤッと笑う。
そして
「すごいでしょ」
と口パクで言いやがった。
よし、決めた。
卒業式が終わったら、思いっきり頭を撫でてやろう。


