「……心配だよ。
心配に決まってんじゃん。
だって…賢の将来が決まっちゃうかもしれないんだよ。
……ってか今は自己嫌悪中」
自己嫌悪中…ってなんだ?
「縁起でもない話なんだけど、
もし賢がG高スベったら、市内の学校受けるんだ。
だから、入試、うまくいってほしい、って願ってる自分と
失敗すればいいのに、って思ってる自分がいるんだ。
ホント、最低だよね。
賢の夢のために応援してあげなくちゃいけないのに、失敗すればいい、なんて思うとかさ。」
『別に…いいんじゃないか』
京地は驚いた顔で俺を見る。
『それが、普通の人間だ。
最低でもなんでもない。
もし俺がお前の立場だったら、
受験、失敗しちゃえばいいのに、
って同じこと思うよ。
あんまり、思い詰めんな』
京地の肩をポンポンと叩いて前へ戻る。
教壇の上に立って京地を見たとき。
アイツは真面目に勉強していた。
腹黒京地のはずなのに、
なんか素直なんだよなぁ…アイツ。


