『もう、いい加減、やめよう。』
奈々はシートベルトをぎゅっと掴んでいる。
『言いたいことあるなら言ってくれ。
隠されるのはよけいに辛いんだ』
奈々はシートベルトを外した。
俺は車を路肩に止める。
この先の十字路を過ぎればもう、奈々のアパートだ。
「……ごめんなさい」
その一言で、十分だった。
奈々は車を降り、走り出す。
俺も慌てて車から降りた。
『……奈々!』
カッコ悪くてもいい。
それでもいいから俺のキモチを知っていてほしかった。
『俺は…別れたくない!
別れたくないんだよ…奈々…っ!!』
奈々は足を止めた。
え…?
俺の想い…届いたのか?


