『奈々、今日…暇か?』
言われたとおり誘っている俺って涼の言いなりなのか?
「え?突然どうしたんですか?」
ここはおなじみの秘密の場所。
ちなみに授業中だ。
だから辺りは静まっている。
遠くから体育の授業中の生徒の声が聞こえた。
『いや…久々に家に来ないかな、と思って』
なんだか照れくさくて。
語尾が小さくなった。
「いいですよ!また優作さんの手料理、食べたいですし!」
奈々はそう言って微笑んだ。
『じゃ、今日仕事終わり次第俺んち行こう』
「あ、涼さんは?」
『ア、アイツは…』
なんて言えばいんだろう。
まさか、俺たちのためにどっかへ行くって言うワケにいかないだろ?
『アイツは…うん、遊びに行くんだって』
これが俺の精一杯の答え。


