『なんだよ…お前。

いきなり現れて。


空気読め、空気!』


そう言うと京地の眉間にシワが寄った。



「あの、ちょっと話…聞こえちゃったんだけど」


聞こえた、ってどうぜ京地のことだから聞く気だったんだろ?




「生徒の前で抱きしめる、ってヤバくない?

そりゃあ?自分の彼女が他の男に言い寄られてるの見て思わずそういう行動しちゃうのは分からなくもないよ?

けどさ、一応先生は先生なワケじゃん。


それに学校だよ?ここ。

もうちょっと人目につかないところでそういうことはやったほうがいいんじゃない?


もしかしたら今、学校中で噂になってるかもよ?


藤堂先生と奈々ちゃんは恋人だ、って。」


京地は今度は困ったような顔を見せる。



『京地…もう手遅れか?』


学校中で噂になってたら…どうしよう。


みんなに冷やかされるのか?

それとも校長に呼び出しでもくらうのか?


とりあえず、ヤバイよな、俺たち。




「まあ安心してよ」