はぁ…と、溜め息が出てしまった。
「……え?」
奈々はポカンとしている。
ダメだな、完全に。
まだこの状況、理解できてないんだ。
ホントに奈々は鈍感なんだから。
俺は髪の毛を掻き上げ、2人に近づいて行く。
これ以上は許せない。
奈々の背後に回る。
男子生徒は俺に気づき、目を丸くした。
俺はおかまいなしに奈々を後ろから抱きしめる。
なんか…ダサくね?俺。
奈々が告白されたとこ見ただけで、こんなふうに我見失って。
『これ、俺の、なんだよね』
突然俺の腕の中に納められた奈々は当然、驚いていて。
『静かにしとけよ?』
と、耳元で囁く。
そうすると奈々の耳が真っ赤になって。
照れてんのか?
『おい、聞いてたか?』
目の前に視線を戻すと、生徒はまだビックリしてて。
『もっかい言うぞ。
これ、俺のだから』
『藤堂先生…??』
『だから、手ぇ出すな』


