「はぁ?何そのフツー。
あたしにフツーが通じると思ってんの?」
旅行バッグを担ぐ京地。
なんかすげぇ軽そうだな。
『フツーに通じると思ってたけど?』
京地の真似してフツーを使ってみる。
「まだ分かってないね、あたしのこと。
あたしは天の邪鬼(アマノジャヤク)。
だからフツーの反対が好きなワケ。
分かった?」
はいはい、と適当な返事をする。
京地はそんな俺に不満そうな目を向けたが何も言わなかった。
「野外学習てさ、絶対あたしら生徒より先生の方が大変だよね」
そう京地が言い終わると同時にバスの前に着く。
そして京地はバスに乗り込んで行く。
なんだったんだろ、さっきの言葉。
まあ確かに俺等教師のほうが大変だけど。
なんであんなこと言ったんだろ。
やっぱ俺、お前のこと分かんねぇや。


