「ずーっと見てるよね、奈々ちゃん。

好きオーラが溢れてるよ」


体育館の入り口は込みまくってなかなか進めない。

クツを履き替えるのに時間がかかってるんだ。


ってかみんなお喋りに夢中だし。



「へ?見てないよ?ホントに見てない」


奈々ちゃんはブンブンと首を横に振る。



「残念でした。

あたしにウソは通用しないよ?」


奈々ちゃん、知らないでしょ。

ウソつくとき前髪触るクセがある、って。




「やり直したいなら素直に言えばいいのに。」


そうあたしが言うと奈々ちゃんはあたしを思い切り睨む。

いくらなんでもそんな睨まなくても…




「真は分かってないんだよ。

大人の恋っていうのがそんな簡単なんじゃないってこと。」


何が大人の恋よ。



「子供の恋だって簡単じゃないよ」