待ち合わせ場所を確認するのに、彼は電話番号を教えてくれた。初めて私は彼に電話することになる。初めて聞いた彼の声は私の心を奮い立たせた。早く会いたい…。私が想うのはただそれだけだった。

 何度か電話のやり取りをしてようやく待ち合わせ場所に着いた。長かった。ここまでくるのに車で2時間。彼が住んでいたのはF市。遠かった。でも、ワクワクしていてそんなのどうでもよかった。彼が着ている服の特徴を聞いていたから、すぐにわかった。私はゆっくりと近づき、『はじめまして。あずきです。』と出会い系サイトで使っていた、ペンネームを名乗った。私が運命の赤い糸をたぐり寄せた瞬間だった。