「はじまして」


雨が降るか降らないかていう微妙な天気日の時にその人はぼくのアパートへやってきた


黒い髪に白い肌
今時の若者には見えない
清楚
という言葉がピッタリな人だ





その人がぼくに言ってきた

「好きです
付き合って下さい」



えらく
突発的な子だな
と思いながら

「順を追って話し合おう」

て言って彼女を2LDKの部屋に入れた



「まあ、テキトーに座って」

彼女はリビングのちゃぶ台の前に正座した


ぼくは彼女にお茶をちゃぶ台に置いた

ありがとうございます
て言ってお茶を飲んだ


簡単な質問をした

「名前は?」

「美島文乃です」


「高校生?」

「大学生です」


「なんでぼくを好きになったの?
ていうか、ぼくはキミを知らないんだけど?」

「わたしはあなたを知ってます
6年前の修学旅行のこと覚えてますか?」

ああ、と思い出す

修学旅行は京都へ行った

ということぐらいしか覚えてない

なんせ、
その日の前から盲腸炎で右脇腹が痛く京都に行った日の晩に激痛を訴え京都の病院で一週間入院することになったのだ

印象に残ったと言えば摘出された自分の盲腸を見れたことだ