「ずい分と遅かったのね」


アパートに帰り着くと、仕事帰りの奈緒子さんが言った。


「うん・・・」


あたしは小さくうなずいた。


「またどこかで遊んでたの?」


「別に・・・」


「ねぇ、美輝、わたし、前にあんたに言ったよね?」


奈緒子さんは真顔で言った。


「わたしのこと、姉貴みたいに思ってほしいって。でも今のあんたは、他人行儀すぎるよ。

わたしにもっと話してくれたっていいんじゃないの?

わたしは美輝のこと、妹みたいに思ってるのに・・・」


奈緒子さんは怒っているというより、悲しんでいるようだった。