幸せの契約

「鈴様!?
どうかなさいましたか?」


物音に気付いたのだろう
犬居さんがドレスルームのドアをノックする


「っつ…!」


言葉が出ない私…




「鈴様!?」


さっきよりも大きな声


しっかりしなきゃ

立ち上がらなきゃ


思いはあっても体が動かない


震え上がって

しまい込んだはずの記憶が私を暗闇に突き落とす