小腹が空いた


私は厨房へ向かった


「番場さん?いますか?」


「はいよ―。」


奥からムクッと出てきた番場さんの手には大きな肉のかたまりが乗っていた


「明日から鈴様は大学だろ?だから今日は景気付けにカツをあげようと思ってよ!」


豪快に肉をまな板にのせた


「うわぁ…!
すっごいですね。夕飯楽しみです!」


「だろ?
トビッキリのを作ってやるよ。」

ガハハと豪快に笑う


おじいさんとかいたらこんな感じなのかな…―?


「鈴様?!
いけません、こんなところに来ては。」


犬居さんが入ってきた


「犬居さん。
あの、小腹が空いちゃって…。なにか食べ物ありますか?」



軽いため息混じりに
「そう言ったことなら、ベルを押していただければ、私から伺いましたのに。」

と私を見た


「嫌なんです。
部屋は広すぎるし、私一人で…なんか寂しくて…。

だから、みなさんの近くにいたいなぁって…。」


語尾は小さくなってしまった


子供じみたこと言ってるのはわかってる


だけど
今までずっと一人だったから

誰かと一緒に生活出来ることが


私には何よりも暖かい