Sweetなキミへ

厨房の冷蔵庫を開けて、1番最初に目についたのは彼女の為に作ったスイーツ

店に呼ぶのはためらわれるけれど、ちゃんとした形でこの作品を渡したいから……

そう思っていたのに呼べなかった自分に、あらためてへこむ

しかしへこんでいる場合でもない

今日も厨房は戦争状態

俺だけの事情でサボっている場合ではないのだから……


「拓哉、『ガトーショコラ』と『チョコレートのミルクレープ』!」
「拓哉、『ショコラルノアール』と『クラシックショコラ』ね!!」


今日もチョコレートづくし……

朝からチョコレートの匂いばかりで、いい加減チョコレートが嫌いになりそうだ……

戦争のように注文こなして、7時半が過ぎた頃

閉店が8時が閉店の為か、客が減り始め余裕が出てきた頃


カランカラン


聞きなれた音と共に店に入ってきたのは、遥だった

厨房のドアの丸い窓

小さいその窓から、店頭の様子がうかがえる