カレー

『カレー爆発』


酒場の入り口から

一陣の風が

この乾ききった酒場へ

吹き荒れたかのような錯覚が

やさぐれ者達は

酒場の入り口を睨む

一陣の風の最後にいたそいつは

そのやさぐれ者達の視線を

しっかりと受け止めて

酒場の入り口に

悠然と立っている

酒場は静まりかえり

やさぐれ者達が

囃し立てる時に

そいつはただニヤと笑って一言

「おまえらはカレーだな」

乾ききった酒場は

それから銃声と叫び声と

血の匂いとカレーの匂いのする

無人の建物となった