「やっぱり課長もそう思います?」
バックを持って、慌てて俺の後を追って来る。
レシートを店員さんに渡し、財布に手をかける加藤さんを制し会計を済ませる。
そして店を出た所で、「ご馳走様です」と言う加藤さんに喋りかける。
「確かに遠距離は淋しいし、会いたい時にすぐ会えない。」
「でしょ、そうですよね。」
俺の後を歩きながら、加藤さんが相づちを打つ。
「だからこそなのかも知れない。」
「?」
「俺が“だろうな”って言ったのは、近くの人がいいって事じゃなくて、加藤さんが長続きしなかったってとこだからな。」
黙って俺の後ろを歩く加藤さん。振り返って見た訳じゃないが、多分膨れっ面になってるだろう。
「遠距離だから…それはただの言い訳。本当に好きなら距離なんか関係ない。俺とミクは実際そうだ。」


