*制服のボタン*バレンタインの憂鬱*陵弥


凜花の目の前に、俺の手を差し出す。





いつもなら、笑顔でその手を握ってくれる凜花が。




笑顔を見せず、目を伏せた。




凜花…?




俺は凜花の手を強引に掴み、足早に歩き出した。





小走り気味に黙って、俺に手を引かれる凜花。





俺は自分がついた嘘の後ろめたさと、言いたい事があるはずなのに、何も言わない凜花に苛立っていた。



部屋に着くと、凜花を強引に引き入れた。





「何怒ってんの」



苛立つ気持ちを抑え穏やかに言ったつもりだった。





それなのに…凜花が。





「何も怒ってない。怒ってるのは陵弥じゃない?」








「何で突っ掛かる」


「突っ掛かかってない!」

段々、声が荒くなって。



「突っ掛かてんだろッ!」



突っ掛かる凜花にも、嘘なんかついた自分にもイライラして、声を荒げた。






自分の荒げた声にハッとした。







凜花がビクついて顔を曇らせた。







そして、目を伏せた凜花が。





「…陵弥が…嘘つくから…」