寝返りを打ち、窓の外に広がる空を見つめる。
夕暮れに染まる暁は、果てしなく続く。

十年前─あんなに焦がれた空はこの手にある。
二度とは離すまいと誓った空が───


瞼を閉じれば、今も鮮明に蘇るあの悲鳴。

それは誰ともつかない叫び。
それは名も知らぬ同志のものであり、弥生のものであり、ラスクのも…

実際に聞いていないものでも暗闇の向こうで誰かが苦しみ、悶えている。


耳をふさぎたい─できない
腕が押さえられている…?

不審がって振り向けば無数の腕が絡み付いている。


「い、嫌…やめてッ!」


それらを振りはらい、走り出す。

しかし払っても払っても絡みつくそれは小夜の足をとる。


「うぁっ」


短い悲鳴を上げて、地に伏せった小夜を手々が引きずっていく。

闇が小夜招きこむかのように近づいて───