「何でみんな死ぬことが前提なの? 侵食を止める方法とか探さないの?

私はそんなことされていないし、此処にいるのが嫌だった!
だからこの作戦を思いついた!
――全部…全部ただの私のわがままなの! その為に命を捨てるとか、バカだよ!!」


涙が流れ、怒鳴った所為で息も絶え絶えになっても、握った拳は緩めない。
小夜は下を向き顔を拭う。


「だけど」

弥生が口を開く。
全員の視線が集まる。

「俺たちはもうこうすることを選んだんだよ。
俺たちの決めた道に誰も反対したり邪魔する権利はない。
――もちろん、お前にもだ、砺波。
だからこんなことにでも、俺たちの短い命を懸ける。だから――」


弥生が一息つく。
そして、小夜に笑顔を向けて小夜の頭に手をポン、と置いた。


「お前はもう何も言うな。俺たちに従って、自分のことだけ考えてろ。」

小夜は、しゃくりあげながら頷いた。


その時、ガーという変な音が周りを包んだ。

やがて音は収まり、代わりに聞きたくない声が振ってきた。


『ククク……泣かせるねぇ、キミタチ』

「この声、ラスクディル?!」


小夜たちは上を見上げた。


『フッ、言いにくいだろ。特別にラスクで許してやるよ。――だが僕が言いたいのはこんなことじゃない。
砺波、お前は逃がさない。この僕を愚弄した罪は重いよ』

「くっ……」


歯をギリ、と食いしばる。
それがあのシンクロしたときの事だということを知らない皆には?マークが浮かんでいた。