ポーン…と音を立ててエレベータが止まる。


小夜達は顔を見合わせた。
大分階下まで降りてきたもののまだ地下まで着いていない。


弥生の目配せで小夜はエレベータの一番後ろまで下がった。

扉が開くのが遅いのが逆にドキドキして落ち着かない。
一番前にいる子たちはおもむろに身構える。


「………」


痛いほどの沈黙がエレベータの中に広がり、唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえる。


扉が開ききる。


しかし、そこには誰も、何もいなかった。


「おかしいな…」


弥生が口に出して言った。


その時唐突にガゥン!と音が響き渡った。



音に驚き思わず身を縮こめた皆が目を開いた時、前の真ん中にいた子が、崩れ落ちた。

「何…今の?その子……ど、して…」

軽く口を押さえながら小夜が震えながら言った。
倒れた子の打ち抜かれた傷から赤い液体が流れ出る。


それが何かわからないほど無知な者は、此処にはいなかった。


「きゃあああぁぁぁぁぁ!!!」