一番近くのパソコンを選び椅子に座った。

「いい子だ。
見ての通りこの画面を見つめるだけでいいんだ。
画面は勝手に流れてくれるし、終わったら教えてくれる。
このディスクが終わったら呼んでくれ」


「うん」

男がパソコンにディスクを差し込むと待ちうけ画面は即座に切り替わり文字が映画のエンドロールのように下から上へと流れていった。


小夜は他の子供たちと同じように目を見開いて画面を見つめた。


文字の羅列は思いのほか早く終わり小夜は機械的に男を呼びに立った。


「そうか、じゃああれに書かれていたことをこの紙に書き写せるかい？」

「うん」

「！？ ……本当に？」

「じゃあやるよ？」


小夜の手は恐ろしい速さで動き出した。

しかもその文字は５歳の字ではない。
厳しい習字をずっと習ってきた大人のような綺麗な字で書いていく。

パソコンの前で小夜が画面を見ていた時間が３０分、小夜はたった５０分ですべてを書き終えた。

「これを照合してくれ」


男は数十枚にも及ぶ紙と一枚のディスクを近くの者に渡した。


「簡単だったよ。本当にこれだけでいいの？」

小夜は男に笑顔で言った。

「あ、ああ」

「照合終了いたしました」

さっきの者が戻ってきた。
男は小夜に聞こえないところまでいった。

「どうだった？」

「一字一句違わず完璧に書き写されています。」

「何だと！？ ……我々は最高のを手に入れたな……」