佐山の提案で一時店へと帰ることにした。

早苗は怯えた小夜をつれていく途中、絢杉と松山に連絡をした。

小夜の電話で異変を感じた早苗が二人にも捜索を頼んでいたのだった。


店に着いたときには、二人はすでに店にいた。


「おい!! 大丈夫だったか?」


松山が青い顔をして入ってきた三人をみて立ち上がった。


「……何があったんだ?」


絢杉が聞いた。
佐山が小夜と早苗をいすに座らせ、事情を知らない二人に一部始終を聞かせた。
聞き終わって松山が困惑した顔で言った。


「何だ? どういうことなのか結局わかんねー!」

「ああ、肝心なところが抜けてる」

「俺に言われてもなぁ…」


そういって佐山は小夜を横目で見た。
先ほどよりはずいぶんと落ち着いているようだ。
佐山の視線に気付き小夜が顔を上げる。


「ああ、うん。あたしが話さなきゃいけないよね…」

「その前に、あいつからこれを預かった」


そういって佐山が出したのは、青みがかかった封筒。


『新作発表会招待状  ガヴィンコーポレーション』


後半の文字を見て小夜が唇を噛んだ。
ビリッと乱暴に封筒を開け中の手紙を読んだ。
読み進めるうちに小夜の顔色がどんどん蒼白になっていた。


「なんなんだ、この手紙は?」


松山が覗き込んで聞いた。

「由宇児、ちょっとまて」

絢杉がとめる。
小夜が話し始めるまで待とうというのだ。

少しの沈黙の後、小夜が口を開いた。