逃げなきゃ、早く！！あいつらから！！！

「はぁ、はぁはぁ」

暗い廊下を少女が走る。
必死で走る少女をひとつの足音が追いかける。
それは、とてもゆっくりのように聞こえるのに恐ろしい速さで迫ってくる。

少女の足にも限界が近づいてくる。

「はぁはぁ、はぁ」

息も絶え絶えになっている。

チラッと後ろを確かめると、壁ぶつかった。
少女は慌てて壁を手で探る。

助かった！　本能的に思っていた。ドアにぶつかったのだ。

ガクッと落ちそうになる足を動かし、ドアを開く。
急いでドアを閉めて内側から鍵をかけた。

「まだ……はぁはぁ……なの？」

少女は歯を食いしばり再び走り出す。


その後ろの足音はドアの目前まで来ていた。

その手をドアノブにかざすと、ドアはひとりでにゆっくりと開いた。

そしてゆっくり、ゆっくりと足を踏み出す。


少女は二つ先の部屋にたどり着きエレベーターで下へ向かう。

密閉された空間に入った途端少女の足は崩れ落ちた。
エレベーターの表示は、下へ下へと進む。

上の部屋で足音の主はエレベーターが下へ進む様子を見、扉に手を置く。
轟音を立てて一瞬にして扉は弾けとんだ。
エレベーターのコードしかないところに足を出し、ゆっくりと降下していった。


エレベーターが地下２０階に着いた音がした。
崩れた足と息を整え今度は、走れない足でに早足で進んだ。


そこは広大なトンネル。

上はかろうじて電灯の光が届き、幅はどこまで続いているのかわからない。

トンネルのそこに当たる部分には軽自動車程度の大きさの楕円形のものがいくつか横たわっていた。


少女はそのひとつの扉を開き中へ入った。