どんっ!!


見事ぶつかったその人はあたしのように尻餅なんてついていなくて、大丈夫?とあたしに手を差し出してくれた。





ああ、恥ずかしい。


「す、すいませ…」

若干どもりつつ謝りながら顔をあげると正統派の美形が。


あれ?

この顔どこかで…




突然頭の中に記憶が流れ込んでくる。


(私はどちらの味方でもない。)(邪魔はしないでくれないか。)


いつも時計を弄っていた真面目な彼。


愛想なんて産まれた時に忘れてきたようだったけど、その言葉はいつでもあたしを安心させてくれた。


(辛いなら頼れば良い。)




優しい、優しい、




「……時計屋さん?」



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