誰でもいい。

ガキでも老人でも善人でも悪人でも。



だが、人数は肝心だ。


一人ではダメだ。

死刑にならない。


二人では微妙。


三人やれば確実だろう。



俺は人ごみの中で時計の短針が9の字を指すのを待つ。


その瞬間、俺はしがないどこにでもいるような男から世間を震撼させる通り魔に変貌する。



今日の番組予定は変更になり、全てのチャンネルで俺の事件を扱うことになる。


そこでやっと世間は俺のことを知るんだ。



俺のように社会によって精神をズタボロにされた人間がこの世に少なからずいることを知るんだ。


数人の人間を殺したところで社会が変わるとは思っていない。


だが、社会が変わるきっかけの一つにはなるはずだ。

前の通り魔事件では、それがきっかけで派遣法が改正になった。


俺がやることでまた何かが変わるかもしれない。


俺のやることには意味があるんだ。