彼の名前は佐藤敦。

あっちゃん。

小さかったあたしと弟は、彼のコトをそう呼んでた。

うちの両親は共働きで、仲の良かった隣のうちのオバサンに、保育園に預けられる前のホント小さな頃、あたし達姉弟は預けられてたらしい。

その時の記憶はあまりないけど、ママや隣のオバサンから聞いてる。

隣のオバサンのあだ名が「かぁたん」なのは、あっちゃんがオバサンのコトを「母さん」って呼ぶのをマネしてたからだとか。

気がついたら、あたし達姉弟は、あっちゃんのコトをホントのお兄ちゃんみたいに慕ってた。