アビリク

その頃、美紅は通学路をただがむしゃらに走り続けていた。

はやく助けを呼ばなくちゃ!

そんな気持ちとは裏腹に、辺りはシンと静まり返り、自分の足音だけが虚しく響き渡る。

たまに見かける人々は、マネキンの如く、じっと一線を見つめたまま動かない。

どれもこれも皆、あの“時の旅人”とか言う男のせいである。

校舎にたどり着く。

やはり、皆固まったまま動く気配はない。

しかし、

「あの…、」

後ろから声が聞こえたのだ。