公園に着くと、自転車は昨日とめた位置にひっそりと置いてあった。

「よかったー。盗難にはあってないみたいだぞ。」

自転車に駆け寄り、鍵を外す。
ぱっと美紅を見ると、何とも言えない表情で固まっていた。

「美紅?」

自転車を押して近づくと、美紅はか細い声で、

「ごめん。」

と言った。

「や、謝らないといけないのは俺の方だけど…?」

「ちがうのっ…。」

今度は少し強い口調だ。

「私達…さっきから誰かに…見られてる。」

その言葉に思わずぎょっとした。

「気付いてたのに…早く逃げないと危ないよ。」

しかし、辺りには誰もいない。

「や、誰もいない…けど?」

そう言いつつも、何故か汗が額から流れ落ちた。

「大丈夫、俺がいるから。な?」

大丈夫。心の中でもう一度呟いた。美紅はさっきまでの高テンションから一転、血色のない顔でコクリと頷く。

何だかひどく胸騒ぎがする…。





と、その時!

──フッ…