発注数の少ない凶おみくじの生産ラインとはいえ、三人の部下がいる。俺は重い足取りでラインに向かった。

「主任遅かったすねー。工場長の話ってなんだったんすか?」

「ああ、みんなちょっと集まってくれ。残念な知らせがある」俺はこのラインでの自分たちの仕事が、今日の午前中で終了となることを部下たちに告げた。

「そんな。せっかく今まで頑張ってきたのに」

「そうですよ、このおみくじを引いた人間がどんなにがっかりするだろう、凶を引いたんだから不幸になってしまえって、想いをこめて必死に凶一文字を書き続けてきたのに」

「だからそれがいけないんだってば。だってお前、それじゃ呪いじゃないか」苦笑しながら部下たちをなだめる。悔しいのは俺だって一緒さ。

「さあ、最後の一仕事をしようじゃないか。どうせその後はロボットが凶の字を書いて、俺たちは中吉や小吉を書くんだ。そんなに変わらないさ」