冬の吐息///作成中

山田が黒板に勢いよく数式を書く。
それをひたすらノートにうつす。
当たらないように願いながら。
みんな良い大学に入りたいがために塾に行ったりカテキョを雇ったり、それぞれ放課後も勉強しているらしい。

私は専らごめんだ。

大学に行く気も無いし行けそうにもない。
早く就職したい。
就職=大人
勝手にそう考えているからだ。


私は本当に自由に育ったのかも知れない。
目を閉じながら考える。

公務員の父。
主婦の母。
そして私。

一人っ子特有な育ち方をした、と思う。

大切に育てられた。
私だけを両親が見てくれるような感じ。


塾には行きたくないと中学生の時に親にいうと…
あっさり『わかった』
と言われたり、年に一度は三人で飛行機に乗って遠出をするしお小遣も結構もらえるし。



父と母も休日は二人で出掛けたり今も仲が良い。喧嘩は見たことが無かった。

思い浮かぶのは、いつも三人で食卓テーブルを囲み、お互いその日あったことを話す光景。



目を開けると授業がまもなく終わる時間になっていた。