〔いえ…。用と言うのは別に無いんですが…後藤弁護士を見掛けたので声を掛けさせて頂いたんですよ。〕


琉偉は俺にそう答えた。



『用が無いのであれば失礼させて貰ってもいいかな?』


琉偉にそう言うと…



〔あっ!済みませんでした。引き止めてしまって…〕


琉偉はそう言った。



『じゃ。失礼させて貰うよ!』


俺はそう言って裁判所を後にした。



変な弁護士?



俺はこの時、琉偉に裁判所で逢ってた事を忘れていた。



そして…



暴行事件や少年事件民事事件、色んな事件を掛け持ちしながら裁判所や家庭裁判所、拘置所や鑑別所等を毎日の様に飛び回ってた俺にある事件が舞い込んで来たんだ。


ある宗教団体に対しての民事訴訟を起こすと言う話が…



【後藤君?この案件なんだが君に任せてもいいかな?】


河村弁護士(オーナー)が俺に言うと書類を手渡された。



『オーナー?これはなんですか?』


俺はそう聞いた。



【観ての通りだよ?宗教団体に対しての訴訟をする案件だけど?】


オーナーが答えた。



『いえ…。そうでは無くて共同に成ってますよ?』


俺がそう答えると…