――――・・・


「孝幸に私を紹介して?」



「えっ?・・・・」



煙草の煙りを吐き出しながら、瑠美さんは私にそう言った。



「だから私、ちゃんと孝幸さんと話したいのよ。諦めるにしても、気持ちくらい伝えさせてくれない?」



諦めてくれる?
気持ちを伝えたら。



「そういうことなら…。私も孝幸とちゃんと話してほしいですから…。」



瑠美さんの好きになった気持ちを、ないがしろにしたくない。


私だったら、気持ちを伝えられないまま諦めるなんて、悲しい。



「そう。良かったわ。じゃあ、そういう事で、会う日はそっちに合わせるわ。」



「はい・・・。」



瑠美さんは、それだけ言うと颯爽と長い栗色の髪をなびかせながら、帰っていった。


瑠美さんが孝幸に会わせてとお願いされた時は、どうする気なのかなって不安になった。



だけど、瑠美さんも人の恋人まで奪うような事はしなくなのか気持ちを伝えたいだけだって・・・



更衣室で言った瑠美さんのあの言葉を、私はなかったことにしようと思った。



心のどこかで私は、瑠美さんはやっぱり天使のような優しい瑠美さんが、本当の瑠美さんだって、信じたかったんだと思うんだ。



信じちゃ・・・だめなのかな・・・。。