「私……何にも考えてなかった。何やってるんだろう?心配してくれてたよね……そのせい?」
何かを訴えたかった
自分でもわからない何かを、たった一人の愛する人に向けて
「シル、おっと。結衣、病院への地図がはってあるみたいだけど近い?」
イアが指差すほうには、コルク板に張られた病院の場所がかいてあるメモがあった。
誰かが貼ってくれたらしい。
「うん、すぐそば。待って、タクシー呼ぶ。」
私は家にあった半年ぶりに見る電話を手に取ると、すぐよこのメモ帳に書いてあるタクシーの電話番号をみた。
素早く番号を押して住所を手短に伝える。
ずっと愛用していた財布を手にして、イアに待ってもらっている間に鞄を用意する。
服に多少問題があるが、着替えている時間はない。
王族はいつ何があるかわからない。
そのためドレス調でレースをふんだんに使った白とピンクのワンピースに、少し踵の高い花をイメージしたパンプスをはいていた。
.


