バサバサッ










激しい羽音と共に、一人の天使が降りてきたのは、ちょうど二人の立つ場所の真ん中だった。




「シルヴィア様っ!お母様が倒れました!」








衝撃的な言葉に、イアもシルヴィアもその場で少しの間固まってしまった。









「は……早く城に帰らなくちゃ……」












シルヴィアが驚愕にひらきっぱなしの口をなんとか動かし、声を絞り出す。




いきなり降りてきた天使




運ばれてきた訃報




あまりに突然で、何がなんだかわからないまま何とか頭を動かし羽を広げる






「いえっ、城にはお戻りにならずに今すぐ人間界へ向かってくださいっ!お倒れになられたのは美須途様です」







まるで早口言葉のように天使は言う





その言葉を聞いて、最初は二人共城のほうに飛び立とうとした。



頭が理解するのに時間がかかったのだ。







まるでその事実を遠ざけようとしているように





しかし、理解してしまった。






「まさか……ママが?!」







一気に王族からただの女子高生に戻っていくシルヴィアの心





今彼女は、結衣に戻りかけていた









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