病院までは車で15分程だが、そんな時間がもったいない。
「病院って、お友達のお見舞いにでも行くのかい?」
どうしても私達のことが気になる様子の運転手は、また話し掛けてきた。
「母が倒れたんです」
私は少し冷たい言い方で返事をした。
すると大袈裟に目を見開き、運転手はしっかりと前を見据えた。
「じゃあ急ごう。しっかりつかまってろよ!」
キキィッ
車体が派手な音をたてて細く入り組んだ路地に曲がってはいっていく。
「キャッ」
「結衣!」
その反動で窓に頭をぶつけそうになった私を、イアが引き寄せて抱き留める。
そのあとも、私は見たことも行ったこともない路地を凄いスピードで進んで行き、病院へと急ぐ
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