少し場違いな格好な気もするが、今は気にしてる場合じゃない
自分の部屋から出て小走りにリビングへと向かい、冷たいが何故か埃は被っていない黒いドアノブに手をかける。
そしてその隙間から顔だけをだす。
「イア、もえそろそろくる。行こう?」
焦り、はやる自分の心を落ち着かせようとしながら、中に居てここの様子を見ていたイアに声をかける。
彼の存在は今の結衣にとってなくてはならない存在だった。
きっと彼がいなかったら、とっくに気を失って自分も病院にいたかもしれない
「そうだね……結衣、」
「何?」
「きっと大丈夫だ。心配しなくて良いんだよ。」
柔らかく変化した低い声で、そっと語りかけるように言葉を残すと、イアはこちらに向かってきた。
はっきり言って泣きそう
心配で胸が張り裂けそう
そんな私の心を知っていたかのようにかけられた言葉は、不思議とその鉛のようだった心を軽くした。
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