夕輝はみんなの注目を背中に受け、頬を赤く染めながら席に着いた。 「…あと一人か…」 教師が呟く。 そして、何やら黒板に文字を書きはじめた。 夕輝はどうでもよかったので、ボーっと黒板を眺めていた。 …が。ボーっとしていてもわかるぐらい字が丸い。字というよりは、むしろ記号を並べているような、そんな感じ。夕輝は心の中で、こっそり「丸子先生」とあだ名をつけた。 丸子先生は、ようやくチョークを手から離すと、自己紹介を始めた。