しなやかな野生の獣を思わせる動きで間合いを詰めてくるアキラ。

速く、そして鋭い動き！

俺はまず討竜の剣の一撃を受け太刀する事を考える。

リコイルスターターを始動。

燃料の消費を防ぎたいところだったが、加減して勝てる相手ではあるまい。

この場で燃料を使い切ってでも、何とか窮地を脱する。

その後は…なるようになる！

覚悟を決める俺。

その目の前に。

「あー、待った待った｣

場の空気を読まずに割り込んでくる破廉恥な姿の娘が一人。

「んなっ！」

流石のアキラもこれには驚いて動きを止めた。

割り込んできたのは誰あろう、アイシャだった。

「ファイアル地域の英雄アキラ・ウェズリー、通称『火の玉アキラ』。敵と見たら躊躇も逡巡も見せずに突進していくその猪突猛進ぶり…ふむふむ、まさしく火の玉だわ｣

殺気走る俺とアキラの間で、腕組みして一人神妙に頷くアイシャ。

場違いな事この上ない。

「お、お前何だ！この男の仲間か？ナハトを狙ってるのか！｣

いきり立つアキラに対し、彼女は片手を向けて制した。

「まずは話を聞いてもらえるかしら、アキラ君？」