魔王に忠義を

言われて、アイシャと同じ方向に目をやる。

…地平線の向こうに、砂塵が上がるのが見えた。

かなりのスピードだ。

その速度は熟練した小竜使いの竜さばきでも追いつくかどうかというもの。

だがそれは小竜ではない。

まるで俺のチェーンソーブレードと同じようなエンジン音が聞こえるのだ。

それで気づく。

あれはドーラ製の乗り物だ。

あのエンジン音、あの大きさから察するに、恐らくは自動二輪。

「……」

納めたばかりのブレードに手をかけ、警戒する。

この方面に向かう者に対しては、ガーディアンが検問を張って止めている筈。

一般の旅行者などは、今封印の地へは近づけない筈だ。

ならばこちらに近づく者は、ガーディアンか秘密結社の構成員か。

どちらにしろ俺達にとっては歓迎できる相手ではないという事になる。