魔王に忠義を

「ファイアルはこっちね」

方角を確認するアイシャ。

「全速力で行くからね、舌噛まないで、Ⅵ番」

そんな事を言う彼女に。

「ヴァンだ」

俺は名乗った。

「Ⅵ番は秘密結社の時の呼び名…本名はヴァン・アルナークだ」

「…へぇ」

アイシャが微笑を浮かべる。

満面の笑みとはまた違った、男心をくすぐるかのような魅力的な表情。

「なかなかカッコいい名前じゃないの、ヴァン」

「以後そちらの方で頼む」

「OK、行くわよⅥ番!」

「おい」

「あはははははっ!冗談よヴァン!」

小気味よい笑い声と共に、俺達は文字通り疾風となって天空を翔けた。