いつまでもライストの警備態勢は解かれる事がない。

当然と言えば当然か。

今やVIPとも言えるナハト・リアリーの暗殺を企てた男が、周辺に潜んでいるかもしれないとわかれば、捕縛するまでその警戒を緩める筈もない。

「あのドーラの女の子がナハト・リアリーだったのね。じゃあⅥ番と戦ってたあの男の子って、あの火の玉アキラ?」

飽きもせず俺と一緒にいたアイシャが、木陰から様子を窺いながら言った。

「ああ…」

当分ほとぼりは冷めそうにない。

いっそここで仮眠でもとろうかとさえ思う。

俺は木の幹にもたれかかり、目を閉じて腕を組んだ。

秘密結社は俺を見捨てた。

これからの身の振り方も考えなければならない。

俺を庇う者は既にこの世に存在しない。

にもかかわらず、俺はお尋ね者となってしまった。

ライストと言えばこの世界の中心都市といっても過言ではない。

その中心都市の往来での、要人の暗殺未遂。

罪という言い方をするなら、これ程の大罪はあるまい。

何の庇護もないまま、どこまで逃げ延びられるものなのか。

考えれば考えるほど、頭が痛くなった。