魔王に忠義を

やがて、軍服を着た数人の兵士達が駆けつけて、倒れた俺を取り囲む。

野次馬の誰かが通報したのだろう。

この軍服はガーディアンだ。

いよいよもって追い詰められたな。

このまま投獄か。

魔王崇拝の秘密結社の構成員だ。

死刑は免れんだろうな。

所詮は復讐に生きた男だ。

人を呪わば穴二つ。

俺に似合いの最期という訳か。

ジリジリと間合いを詰めてくるガーディアン。

俺は目を閉じ覚悟を決めて。

直後。

「!?」

突然の旋風。

野次馬も、アキラもナハトも、ガーディアンも。

その場に居合わせた全ての人間が目も開けていられないほどの突風が周囲を舐め尽くした。

…この風は知っている。

確かフーガの風の魔法。

旋風と共に人間や荷物を掻っ攫っていく事の可能な、魔法の竜巻だった。